#父の日
今年もあっという間に6月に。
お正月、節分、雛祭り、お花見、GW、端午の節句、母の日、和洋折衷の行事が続き、今月には父の日。
父は残念ながら亡くなって既に二十余年。
「墓に布団は着せられぬ」とは良く言ったもので、墓前に花や線香を手向けることしか出来ずにおりますが、父のことはよく思い出します。
父は「達彦」という名前でした。
4月8日生まれだったこと、この日がお釈迦様と同じお誕生日だったことからお釈迦様の出家前のお名前、シッダッタの漢訳「悉達多」から一字をいただいたという有難い洒落た名前でした。
誰が付けたのか、など今では知る由もありませんが、そういうことを聞いておきたかったなあ、と思うことが増えました。良い名前だと思います。
そんな理由から供養の意味と御守り代わり、ほんの少しのインテリア性もと(←欲張り)、父の写真の横に置く小さな仏像か仏頭を数年前から探しておりました。
仏師の方が作ったような仰々しいものでもなく、さりとて○○展のショップやアマゾンや楽天で売っている国宝のレプリカでもなく。
出来るだけ素朴で小さなもので高価過ぎず素材は木か石でアマン系ホテルなどの廊下にそっと置いてあるような。
手に取って実物が拝見でき、かつ量産品でない仏像。
韓国やカンボジアを訪問した際にも探してみましたが、なかなかないものです。
敬愛する白洲正子さんのような審美眼がある訳でもないので骨董の仏像である必要はなく。
なんてことをたまに考えながらずるずる生きておりましたが、先日遂に見つけました。
沢田英男さんの作品でその名も「誕生仏」。
お釈迦さまが生まれた時に「天上天下唯我独尊」とおっしゃったというそのお姿を像にしたもので、東大寺所有の像が有名です。
題材からして父を偲ぶに相応しいものです。
大きさも台座を入れて高さ15cmほど。
銀座一丁目にある森岡書店の展示会に伺い、ご本人とお話しすることが出来ました。
沢田さんご自身は特定の信仰は持たれていないそうですが、作品の対象として宗教に関連する題材の作品も作っていらっしゃいます。
天使や仔羊などキリスト教関連の作品もとても素敵でした。
ネコやラクダなどの動物や人物立像など、大きさ、色使いも含め存在感はあるものの邪魔にならないで、身近に取り入れやすい木彫です。
(今回購入の誕生仏は鋳造作品です。)
是非一度作品をご覧になってみてください。
寡黙な透明感のある方でした。
今回、台座を白いものに変えていただき、晴れて我が家に。
父の写真の隣に置きました。
父はもうこの世におりませんが、話したいこと、謝りたいことは沢山あります。
父からは、指の形とリズム感の悪さ、ほぼ下戸な残念な体質、揚物と冷たい飲物好きな嗜好を受け継いでいます。
昭和が終わった早朝に一緒にテレビを観ていたことや、外で待ち合わせてきっかりの時間に歩いてきた姿、なんでもない瞬間の記憶も含め、私はあなたを忘れません。
父の日を迎えるにあたり感謝と哀悼を込めて、少しセンチな、でも満足できるお買い物でございました。はい。